徒然草を再読し、人生を振り返る!?
花はさかりに
桜の花は満開の花だけを見るものであろうか
。そうではない。けんらんと咲いている桜よ
りも、今にも咲きそうな梢、また盛りを過ぎ
て落花の散り敷いた庭などが、かえって賞味
すべき点が多いものである。すべて何事も、
始めと終わりとが事に趣があるものである。
(第百三十七段)
お花見
教養のない人は、花見の時に花のもとに人を
押し分けて、身体をねじるようにして割り込
み、よそ見一つせず見守って酒を飲み、連歌
をして、そのあげく大きな枝を平気で折り取
ってしまう。大様に傍観者として鑑賞するこ
とができない。昨今の花見風景と同じ!?
(第百三十七段)
祭り見物
賀茂の祭り見物で、行列が来るまで奥の屋敷
で、酒を飲み、物を食べ、囲碁・双六等して
遊び、行列が近づくと先を争って、桟敷へ走
り昇り、押し合いへし合いし、一事も見落と
すまいと見守り、行列が通過してしまうと、
次の行列が来るまでまた奥に入ってしまう。
いるいる今もこういう人たちが!!
さくら
家に植えたい木は、松に桜である。桜の花は
一重なのが良い。吉野の桜も、左近の桜も、
みな一重である。八重桜は一風変わった物で
あるが、たいそうくどくて、さらっとしない
ので、家に植えなくてよい。遅咲きの桜もま
た時節はずれで、興ざめするものだ。
(第百三十九段)